2011年12月29日
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三百字小説『おクスリ惑星オックスリー』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 オックスリーは医療惑星だった。そこで生み出される薬は全宇宙で珍重された。

 あるとき、宇宙最強の大銀河帝国の艦隊がオックスリーに襲来して占領してしまった。

 「皇帝が死にそうだ。この惑星で最高の薬を寄越せ」

 オックスリーの人たちは顔を見合わせた。最高の薬と言われても、診察もしていない相手に最適な薬など分からない。

 やむを得ず、オックスリーは地下保管庫に大切に保管されていた最も高価で貴重な伝説の薬を渡してお引き取りを願った。

 帝国軍を見送って若いオックスリー人が質問した。

 「あの薬はそんなに貴重なんですか?」

 「うむ。しゃっくりを100%止める薬はあれしかもう残っていない」

 「えっ?」

 「帝国にはいいクスリだろうよ」

(遠野秋彦・作 ©2011 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦